鼻の記憶
昨日子供にパシられていちごジャムを買いに行った帰り道、
自転車を漕いでいたら突然鼻が何かの匂いを思い出した。
正確に言えば思い出していたのは脳なんだろうけど、
鼻が思い出したとしか形容できない感覚だった。
鼻が思い出してるんだけど、
ああこの匂いなんだっけ、とギュウギュウ詰め込んだ引き出しからパンプス用靴下のもう片方を探すみたいに記憶の引き出しをあさる、その漁ってる場所は脳なかんじがする、という不思議な感覚。
そしてやっと探し当てたのは「ゆでぐりの匂い」でした。
ゆでぐりかよ!と、自転車(私の持ち物の中で一番高い18万円もした電動自転車)を漕ぎながら驚いた。
だってゆでぐりって、「人生で食べた回数ランキング」のだいぶ下位だよ。
匂いって不思議。
脳の深い場所に直結している気がするのに、実体がないのだ。
例えば目で見るものはそれがなんであれそれをそれとして直接認識できるでしょう。
でも匂いはまず鼻でそれを嗅いで、さらにそれを脳内の「匂いの記憶」と照らし合わせて同じものを探し当て、そしてさらにそれが何の匂いだったかを思い出してやっと「今嗅いでいるのは◯◯の匂いだ」となる。
照会結果が出るまで、その匂いは名前を持たない。
日頃嗅ぎまくってるものなら照会作業は一瞬でできるけど、
唐突なゆでぐりだと時間がかかる。ウンコは一瞬でウンコ。
厄介なのは、同じ匂いを嗅いでいても照会作業に齟齬があると確かに鼻は同じものを捉えているのにそれぞれの「これは◯◯の匂い」が食い違ってしまうこと。
元夫はぞうきんの匂いや生乾きの衣類の匂いを「すっぱい」と形容した。
確実にすっぱくはねーよ、と無性に腹立たしかった。
これを最近私がカワユイ!と思っている韓国ドラマ「sweet home 僕と世界の絶望」の主役の男の子が言ったら確実に腹は立たないであろうことを思うと離婚は正解だった。
みなさんも、嗅覚の照会結果が食い違っても笑い合える相手と結婚しましょう。
p.s. 「sweet home 僕と世界の絶望」は、主役の子がとにかくキャワユイ!のと、
いつも丁寧な物腰のクリスチャン男性国語教師が日本刀で敵を倒したあとに「アーメン…」とつぶやくのが狂おしいほどに心・盛り上がり私の中の中学2年生が大暴れしてしまう